校長室から R4.9/12
絶対解のない時代に
あるラジオ番組に、2021年のオリンピックで大活躍をした女子選手が出演していました。スケートボードを使い、パイプ状になったコースで様々な技を出し合うこの競技は、東京オリンピックで始めて種目となったものでした。例え失敗をしても演技終了後ガッツポーズをしたり、得点を競うライバルと親しげに会話をしたり(時にはハグをしたり)、楽しそうに競技する選手達を見ていて、とても異質な感じを受けました。これがこれからの時代を担う若者の価値観・感性なんだろうなぁ・・、昭和な私には理解が難しいなぁ・・と若干の距離感もありました。
ラジオ番組に出演していたこのスケートボードの選手は、とても驚くべき事を口にしました。
・スケートボードには明確な指導者がいない。ボーダー同士で教え合い、学び合っている。
・同じ技でも、各選手それぞれのやり方があり正解がない。競うのではなく、技を極めるために練習をしている。
オリンピックの正式種目でありながら明確な指導者が存在せず(強いて言うなら選手同士が指導者)、それぞれの技に正解が存在していないということは、私にとって大変な驚きでした。絶対的な正解が存在せず、そこにあるのは各自の納得解であるということ。
昭和な私からすれば、絶対的な正解があり、そこに「たどり着く」か「たどり着かないか」が大問題であり、「たどり着く」道を知ってさえいれば、これほど楽なことはない・・ものでした。しかし、「たどり着く」「納得できる」ゴールを設定することも含め自分で決めなくてはならないことは、決して楽なことではありません。ですが、スケートボードの選手達が楽しそうにオリンピックの舞台で演技しているように、これからの子ども達には納得解を持って、楽しく生きて欲しいとつくづく思います。
今から数年前、就きたい職業ランキングに、動画投稿サイトに投稿することを生業とする「You○○er」(ユー○○バー)がランクインしました。当時の私は、この「You○○er」(ユー○○バー)を批判的に捉えており、そんなことを希望する子ども達はとんでもないと考えておりました。しかし、実はこの「You○○er」(ユー○○バー)も絶対解のない納得解の世界であると捉えると、そういう選択肢もありだなぁ・・と感じるようになってきました。
これからの子ども達の時代は納得解の時代。絶対解の世代が納得解世代を批判的に捉えぬよう、気をつけていかなくてはならない・・そう思いました。
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