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2021年10月の記事一覧

校長室から 10/5

6年生のKさん

 2学期が始まってすぐ、5・6年生が恒例のあいさつ運動に校長室に来てくれました。夏休み明け直後ということもあり、あいさつの後の話題は「夏休みの思い出話」だろうなと思っていました。ところが、6年生のKさんがあいさつの直後に口にした言葉は、私をはっとさせるものでした。
「今、悩んでいることがあります。」
 自分が学級担任だった頃であれば、それほど身構える言葉ではなかったのでしょうが、子どもの口から聞くのは久しぶりだったので、緊張感を持ってKさんの話を聞きました。
「新型コロナウイルスのワクチン接種を受けるかどうかで悩んでいます。最近お母さんがワクチン接種をしたんですが、お母さんの副反応がとても大きくて・・。ワクチン接種をするべきかどうか、校長先生はどう思いますか?」
 Kさんの質問に心が震えました。副反応が出てしまって辛い思いをしているお母さんを見ていたKさんの姿、家族でKさんのワクチン接種をどうしようか話し合っている姿、自分なりにワクチン接種の副反応について調べ思い悩んでる姿が浮かびました。そして、校長としてではなく一人の大人の意見として聞いてほしいと伝え、慎重に言葉を選びながら伝えました。
 親子だから体質は似ているだろうけれど、必ずしも同じではないので、副反応も同じとは限らないこと。かかりつけのお医者さんに相談して、そして色々な情報を集めて、納得できる判断をすることが大切であること。
 それを伝えました。Kさんはとても真剣に聞いていました。同じグループの他の子ども達もとても真剣に聞いていました。相手が子どもだからという、いい加減な気持ちで応えるのは大間違いだと、今更ながら感じました。
 新型コロナウイルス感染症の拡大時、テレビ等では、路上で座り込んで飲酒したり、河川敷をバーベキューのゴミで汚してしまったり、マスクもせずフェスで大騒ぎをしたりする嘆かわしい大人の姿が映し出されました。私は一時期、日本の将来を憂いました。しかし、Kさんが真剣に考えている姿、そのやりとりを真剣に聞いてる子ども達の姿を見て、この子ども達がいれば裏磐梯の、北塩原の、日本の、地球の将来はきっと大丈夫だ!!と思えました。私達大人は、子ども達の真剣な思いに応えられる大人にならなくてはいけないなと強く思いました。
 9月の中旬。5校時の6年生の授業を見に行きました。Kさんの姿が見当たらないのでキョロキョロしていると、近くの子が「Kさんはワクチン接種に行きました」と教えてくれました。Kさんとのやりとりを思い出し、『Kさん、色々と納得できたんだな』と安心しました。そして気にかけていた副反応は、「翌日に熱が出ただけで、そのほかは大丈夫でした!」とのことでした。
 裏磐梯小学校の子ども達は素晴らしいです。